特許出願・特許申請・国際特許・特許戦略・知財コンサルティング 神奈川県 鎌倉市の特許事務所

特許出願・特許申請・国際特許・特許戦略・知財コンサルティング
神奈川県 鎌倉市の特許事務所

人気記事

商標実務者向けハンドブック「商標未来図・鑑」発刊へ

2017年06月20日 | 商標

このたび、商標実務者向けハンドブック「商標未来図・鑑」を発刊しました。
特許庁が発行する商標登録のビッグデータをまとめた業界初のハンドブックです。

私たちは、商標登録を取得するだけでなく、中小企業に役立つ情報を日頃から発信するなど、中小企業が商標登録を戦略的に取得・活用できるよう支援する取り組みに力を入れています。
この取り組みの一つとして、私たちがITの特許を専門とする強みを持つことから、特許庁が発行する商標登録のビッグデータを分析し、商標登録のサービスに活用する取り組みがあります。
お客様の事業の将来の広がりに対応できる商標登録を実現することを目的とするものです。
数年にわたってこの取り組みを続けたところ、ビッグデータの活用は、中小企業が商標登録を戦略的に取得・活用することに大変有益であることが分かってきました。

しかし、中小企業の数は多く、私たちだけで対応できる範囲は限られています。
より多くの中小企業にこれをご活用いただければ、我が国全体の競争力が高まり、ひいては産業・経済の発展につながると確信しています。

そこで、全国の中小企業をサポートされている商標実務者との間でビッグデータの活用方法を共有できれば、1社でも多くの中小企業に資するのではないかと考えました。
私たちは、商標登録を取得するときに将来取り扱う商品・役務まで検討できるように商品・役務ごとにビッグデータを分析し、その分析結果を一覧としてまとめたハンドブック「商標未来図・鑑」を作成しました。
また、多くの商標実務者にご活用いただけるよう無料で提供することを決めました。

「商標未来図・鑑」が、戦略的な商標登録の取得・活用に資することを希望しています。
「商標未来図・鑑」は、こちらからご覧になれます。
http://shousei-tm.com/miraizukan.html

商標登録や特許など知的財産に関してお困り事やご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、こちらから。



普通名称化を見越した商標登録は可能

2017年06月19日 | 商標

本日は、先のブログ「ブランド名が普通名称化するとき〜味の素の場合」の続きです。

話を元に戻しますと、「ググる」の言葉が「Googleで検索する」という意味で広く使われると、この言葉自体が普通名称化することになります。

しかし、今回の裁判では、「ググる」と「Google」は別物であるから、「Google」の名前は普通名称にはなっておらず、商標として保護されると判断しました。

では、もし日本でも同じように商品・サービスの名前が「ググる」のようにそのまま動詞となるような事態が起こった場合、商標登録することは可能なのでしょうか?
例えば、Yahoo!ニュースを見ることを「ヤフってる」などというようになった場合です。

まず、「ヤフってる」の言葉が流行る前の段階では、「ヤフってる」の言葉が「Yahoo!ニュースを見る」という意味で広く使われているとはいえないので、商標登録を受けることができます。

例えば、次のような商標が登録になっています。
「もってる」(登録5725500)
「メモッテル」(登録4622090)
「いけてる」(登録5130901)
「ついてる」(登録5181705)
「恋してる」(登録5759161)
「恋してる」(登録5759161)

次回は、「商標登録した言葉がコントロールできなくなると大変なことに」についてお話しします。

商標登録や特許など知的財産に関してお困り事やご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、こちらから。



商標権の共有という毒薬

2015年08月12日 | 商標

商標権の共有とは、1つの商標権を2社以上で所有することをいいます。
いわゆる共有名義といわれる所有の形態です。

商標を共有名義にした場合、一定の行為について「相手の同意を得なければできない」という制約が生じます。
例えば、ある商標をA社とB社の共有名義にした場合、A社が自由に他社にライセンスを設定できるとすると、ライセンスを受けた他社がその商標を使った商品を大量に販売することで、B社の売上げが極端に減少してしまうことがあります。

法律は、A社とB社に信頼関係があることを前提に作られています。
A社とB社の仲がよければ、相手の同意を得ることに問題はないので、通常の商標と同じように活用することができますが、ひとたび信頼関係にヒビが入った場合は、ライセンスなどの一定の行為ができない「制約付き商標」に格下げされます。

私は、決してすべての場合において信頼関係を疑っているわけではありません。
しかし、ビジネスにおいて信頼関係を維持するのは、容易ではなく、むしろ大変な努力を要するという現実があります。
例えば、経済関係一つをとっても、同じ商標を使って商品を販売していたにもかかわらず、一方だけ儲かるような状況ができれば、片方は快く思わないこともあり、どちらが悪いわけでもないのに信頼関係に陰りが出てくることもあります。

そして、信頼関係は一度ヒビが入ると元に戻りにくいという性質もあります。

商標は、数十年の単位で長く使うものです。
その長い間にたったの一度でも信頼関係が揺らぐと、共有名義の商標は、途端に毒薬に変わるのです。
ビジネスにおいて、このリスクはいかほどでしょうか。

フェイスブックなどのSNSで「共有」(シェア)というと、有益な情報をみんなで分かち合おうというプラスの意味合いがありますが、法律上の「共有」は、そういったプラスの意味合いはなく「制約」という意味合いとして認識する必要があります。

単独名義にできないかをぎりぎりまで検討・調整し、現在のビジネスの関係上どうしても難しいという結論になった場合にのみ共有名義にする、というプロセスを踏みたいものです。



6月のカバー画像「浄智寺の紫陽花」

2017年06月15日 | その他

本日より当ブログのカバー画像が変わりました。
今回のカバー画像は、浄智寺の紫陽花です。

写真は、鎌倉フォトガイド社様から購入させていただきました。
鎌倉フォトガイド社様は、鎌倉市観光協会が発行する鎌倉カレンダーにも写真が多数採用されており、鎌倉の数々の素敵な写真をお撮りになっています。

当ブログをご覧いただく方に少しでも鎌倉のよさを感じ取っていただければと思います。

浄智寺の紫陽花



こんなところにもある身近な特許「ヘップリングゴム」

2016年07月08日 | 特許・実用新案

私たちの身近な商品にも「特許」という表示をよく見かけます。
「特許」という字は、特別に許されたと書くので、青色発光ダイオードのような特別で優れた技術にしか与えられないイメージを抱いてしまいますが、私たちの身近な商品にも、特許となる技術があるのです。

皆さんよくお馴染みの「ヘップリングゴム」にも「特許」があります。
本日は、「ヘップリングゴム」の特許にまつわるお話を紹介します。

髪を束ねるための髪ゴムですから、見た目はただのゴムのわっかです。
どこに特許があるの?と思ってしまいます。

実は、ゴムのつなぎ目にあったのです。

リング状のゴムとなっていますが、成形などして最初からリング状に作っているわけではありません。
一本のゴムの両端をくっつけています。

従来の髪ゴムは、ゴムの両端を金具でくっつけていましたが、この髪ゴムで髪を束ねると、金具とゴムの間に髪の毛が挟まってしまうという問題を抱えていました。

そこで、「ヘップリングゴム」は、この点を解消するために、金具を使わずにゴムの両端をくっつけようというコンセプトで作られています。
接着剤でくっつけることを考えたのですが、ゴムを引っ張る力がつなぎ目にかかるので強力にしようと思うと、つなぎ目に接着剤を多く使わざるを得ず盛り上がってしまい、見た目が悪くなってしまいます。
研究を重ねた結果、「髪の毛が挟まらない」「見た目を美しく」の両方を解決する接着方法を編み出し、特許を取得しています。

つなぎ目を注意深く見てみないと分からない程、上手に接着できるようになりました。
ぱっと見ただけでは、分からないような工夫ですが、消費者の潜在意識の中に「美しさ」と「使いやすさ」が自然と浸透していき、従来の髪ゴムとは比べ物にならない程の売り上げを伸ばしています。

引用:http://www.inoue-braid.co.jp/samplepage00_M.html

商標登録や特許など知的財産に関してお困り事やご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、こちらから。



祝!鎌倉ブランド「江の島百景・稲村ガ崎のロゴ」...

2015年09月30日 | 鎌倉ブランド

鎌倉ブランド「江の島百景・稲村ガ崎のロゴ」が商標登録となりました。
当事務所が商標出願から商標登録までお手伝いさせていただきました。

おめでとうございます。

商標登録を活用し鎌倉ブランドとして事業とともに大きく育つように、商標の専門家として引き続き支援して参ります。

当事務所は、湘南地域として、鎌倉市逗子市葉山町横須賀市三浦市藤沢市茅ヶ崎市平塚市のブランド、神奈川県下の他の地域として、横浜市川崎市、小田原市、箱根町のブランドも手厚く支援させていただいています。

商標登録や特許など知的財産に関してお困り事やご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、こちらから。



他人の商標の引用

2012年06月03日 | 商標

よく、「※iPhone、iPad、及びAppleロゴは、米国Apple Inc.の米国及びその他の国における登録商標又は商標です。」という表記を見かけませんか。
この表記は、記事やカタログ等で他人の商標が引用されている場面において見かけることがあります。

この表記の位置づけはどういうことなのでしょうか。
この表記を付しておけば、他人の商標を「使用」することが認められるのでしょうか。
この点は、著作権法上の引用と誤解がある点です。

他人の登録商標は、権利者から許諾を得ない限り、識別標識として機能するような使い方は認められません。
例えば、アサヒグループホールディングス株式会社の許諾なく、自社の缶ビールに「スーパードライ」と大きく表示し、裏面に、「※スーパードライはアサヒグループホールディングス株式会社の登録商標です。」と表記しても、認められません。

では、上記のような表記は、どういう場面で使われているのかといいますと、記事やカタログの文中で他人の商標を引用して特定業者の商品を指し示す場合です。
例えば、「アサヒビール株式会社が製造・販売する辛口ビール」と表記するよりも「スーパードライ」と表記した方が、商品の内容を端的に伝えることができます。

このような場合は、商品やサービスとの関連性がないかたちで他人の商標を引用することになりますので、商標法上、他人の商標の「使用」ということにはならないのです。

ただし、消費者が、文中の商標を見て、特定業者の商品を指し示しているのか、そうではなく商品の普通名称を指しているのかを区別できるかどうかは重要な問題です。
登録商標があたかも商品の普通名称であるかのような使い方をされると、商標としての機能が失われてしまいますので、他人の商標を文中で引用するときは、その権利者に配慮して「普通名称ではありません。」という断り書きを入れるのがマナーとなっています。
それが冒頭の表記ということになります。

※商標法上の「使用」と混同することを避けるため、本記事中では、そうでない使い方を「引用」と表記しています。



平成28年弁理士試験短答試験の合格発表に、思う

2016年06月17日 | その他

受験生への応援ブログになっているのでしょうか。
弁理士試験の記事は比較的人気のあるテーマになっています。

先週、弁理士試験短答試験の合格発表がありました。
ここ最近の発表には驚かされることばかりです。
私の受験時代とは状況が一変しているからです。

今回驚いたのは、合格者数が少ないことです。
私の受験時代は、受験者数が約10,000名であったのに対し、今年の受験者数は、その5割超減の4,600名ですから、短答試験の合格者も、大体5割減くらいと思っていました。

ところが、結果を見てみると、合格者は僅か557名。
えっ、1次試験なのに、私の受験時代の最終(3次試験)合格者数よりも少ないのです。

5割減どころではありません。
私の受験時代は短答試験の合格者数が2,800名ですから、577名というと、約8割減の計算になります。

その要因の一つは、短答試験の免除制度が導入されたことがあります。
短答試験に一旦合格すると、その後2年間、短答試験が免除となります。

そのため、2次試験である論文試験は、短答試験の今年の合格者のほか、短答試験の免除者が受験することになります。

短答試験合格という出口は、2割減になったのですが、論文試験受験という入り口は、免除者を加えると私の受験時代とほぼ同じくらいの割合になります。

免除制度が導入され、勉強が集中的に行えるようになったメリットはあります。
しかし一方で、1次試験の合格の門戸が狭くなるとともに集中的に勉強して挑む受験生が増えることから受験生の水準が高くなるので、参入が大変になったというデメリットもあります。

弁理士試験に限らず国家資格の試験制度は、その時代のニーズ等に合った最適な人材を輩出するように設計されるものですから、求められる点においてバランスをとれる受験生が合格していくのだと思います。

そんななか、今年の短答試験で導入されたのが「個別足切り制度」です。

短答試験は合格基準点というものが設定されています。
合計の得点がそれ以上であれば合格、それを下回れば不合格という採点基準になっており、「全体の足切り制度」は以前からありました。
今回導入される「個別足切り制度」は、各教科ごとに合格基準点が設定され、各教科の得点が各教科の合格基準点を下回れれば、合計の得点がどんなに高くても不合格という採点基準です。

何の意味があるのだろうか、と考えてみました。
というのも、私自身、特定の教科を捨て、他の教科の合計で高い点数を取るという戦略で挑んだ経験がないからです。

しかし、聞いた話では、例えば、条約や著作権などは範囲が広い割に配点が少ないので、これらを捨ててしまうということがよくあるそうです。
極端な話、条約や著作権が0点でも、特許、意匠、商標などで高い点数を取り、合計の得点が合格基準点を超えるように勉強するやり方も、ありだったわけです。
なぜそれができるのかというと、条約や著作権は、2次試験、3次試験で出題されず、1次試験きりの教科なので、捨てても後で足を引っ張らないからです。

こうした試験制度は、私の受験時代でも同じでした。
でも、私は、特定の教科を捨てるという戦略を取りませんでした。
それは、弁理士試験で問われることはすべて、弁理士試験に合格した後にお客様を支援するために必要で大切な知識だと思っていたからです。

もちろん、限られてた時間のなかで、各教科にリソースを配分しながら勉強しなければいけません。
ビジネスでは、自分が苦手なところに敢えてリソースを割かず、自分が得意なところが際立つようにリソースを分配するやり方もあります。
しかし、弁理士試験は、苦手なところがあってはいけません。
すべての教科がバランスよくできることが求められているので、ミスをしない戦略を取ることが重要です。

合格して初めて実感として分かったのですが、それは、弁理士試験で問われることはすべて、弁理士試験に合格した後にお客様を支援するために必要で大切な知識だからです。
このとき初めて、受験時代に目的意識をもってしっかりと取り組んでいたこととが、本当の意味で実を結んだと感じました。

今でも私はお客様との打ち合わせには条文集を片手に持っています。
何年も前に徹底的に詰め込んだ条文の知識が頭のなかで体系化されているので、条文集の助けを借りれば、大抵の問題はその場で解決できます。

受験の最中は本当に大変で、合格のことしか頭にないかもしれません。
ですが、受験をしている「今」が合格後の「未来」につながっているので、今を大切に過ごすことが、弁理士として意義ある未来を切り拓くことにつながるはずです。

商標登録や特許など知的財産に関してお困り事やご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、こちらから。



IoTの特許戦略「IoTとは何か」

2016年09月21日 | 特許・実用新案

IoTについてお話をしていくなかで、IoTってそもそも何?という質問をよく受けます。

IoTが注目されてはいますが、実は、IoTというのがよく分かっていないまま、IoTという言葉だけが一人歩きしてしまっているのではないかという印象を受けます。
もっとも、IoT自体の概念が固まっておらず、現在は、たくさんの事例を通じて、「IoTって、ああ、こういうものなんだ」というのを市場で理解している過渡期です。

ですので、何度も基本に立ち返って、IoTってそもそも何?という質問にいつも分かりやすく答えていくことが大切なのではないかと思っています。

そこで、本日は、IoTとITの違いについてお話します。

ITとIoTの文字を比べると、間にoが入っているだけなので、ITにoという何かが加わったのかと思ってしまいそうですが、ITとIoTは別々の技術を表す言葉になります。

ITとは、Information Technologyの頭文字をとったもので、パソコンなどを用いて情報を処理する技術のことをいいます。身近なところでいうと、私たちがメールをしたりホームページを見たりするのに用いる技術(PCやソフトウェア)を表しています。

これに対し、IoTとは、Internet of Thingsの頭文字をとったもので、「モノのインターネット」といわれています。
モノがインターネットにつながり、モノから得られた情報を分析し、新たなサービスにつなげる技術のことを表しています。ここでいうモノとは、パソコンやスマホなどの通信機器だけでなく、自動車や家電などの機械や、ドア、窓、机、植物、動物など、あらゆるモノが対象となります。

特許や商標登録など知的財産に関してお困り事やご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、こちらから。



平成28年弁理士試験統計発表に、思う

2016年05月23日 | その他

先週、平成28年弁理士試験の統計が発表されました。
今年も受験者数が一層減少したことに驚いています。

弁理士試験の受験者数は、10,494名だった平成20年をピークに毎年減少し続けています。
そして、今年はついに、記録が残っている平成10年以降では、最も少なかった平成10年が4,650名だったのに対し、今年は4,679名とほぼ同じ水準になっています。

受験者数の減少要因については、特許庁の弁理士制度小委員会で次のような指摘がされています。

1.特許出願件数が減っている一方で、弁理士数が増えているため、弁理士の志願者数が減るのは仕方がない。

2.かつての試験は、難しい試験だが一度資格を得れば十分な職が育まれるという意識があった。しかし競争原理を徹底した結果、必ずしもそうなっていない。

3.志願者数の大幅減は、日本弁理士会において、弁理士の魅力をアピールする努力が足りなかったことが一因である。

私は、新卒で知的財産の業界に飛び込んで20年以上経ちますが、知的財産を取り扱うのは、未だにとても難しいと感じています。
だから、他人(企業)の知的財産を取り扱うことを仕事にするには、高度な知識を身につけた人だけができるようにと、その登竜門として弁理士試験が設けられています。

弁理士試験を突破するには、合格者ですら4~5年かかるわけですから、合格だけを考えてひたすら勉強をし続けます。
そうした血のにじむ努力の上で試験を突破すると、いつの間にかあたかも合格が目的であったかのような思い込みに考えが支配されてしまいがちです。

しかし、その思いとは裏腹に、弁理士の資格はあくまで知的財産の仕事をしてもよいという免許にすぎません。
自動車で例えれば運転免許を手に入れたのと同じです。

知的財産を取り扱う仕事で重要なことは、特許などの手続ができることではなく、知的財産を保護、活用し事業の発展というゴールにクライアントを導くことだと考えます。
自動車で例えれば、運転できること自体が重要なのではなく、目的地まで連れて行くことが重要です。(もっといえば、専門家に依頼する以上、目的地に時間内に辿り着くこと、自社で行うよりは低コストで辿り着くことが求められます。)

知的財産を保護、活用する場合に、知的財産権をどのように手当てするかについては何通りもの選択肢があります。
どれを選べば正解なのかは、企業は容易には分かりません。
ましてやどのような方針で選択を行っていけば、事業の発展というゴールに辿り着くのかまで把握できている企業は、おそらく少数でしょう。

その大きな要因は2つあります。

1つは、知的財産が目に見えず、把握しにくいものであることです。

そしてもう一つは、知的財産を保護、活用した結果、自社や他社の事業にどのような影響が出るかが推測しにくいことです。
このボタンを押せばこのランプが光るというようにボタンとランプの関係がはっきりと把握できる場合は、光らせたいランプに対応するボタンだけを効率的に押していけばよいのです。
ところが、知的財産の場合は、保護や活用などの「施策」と、事業への影響という「効果」の対応関係がとても分かりにくいのです。

こうしたことを考えると、企業が弁理士に期待する役割の一つは、知的財産の水先案内人としての役割です。
つまり、「私は、このランプを光らせたいので、どのボタンを押せばいいか教えてほしい。」という質問に対し、「このボタンです。」と適確に答えられることです。
知的財産の知識がより少ない企業についていえば、「私は、事業の発展というゴールに辿り着くためにどのランプを光らせたらいいか分からないが、ゴールに辿り着きたいので、どのボタンを押せばいいか教えてほしい。」という質問に対し、「これとこれとこのボタンです。」と適確に答えられることです。

しかしこれに対し、合格を目的に位置づけてしまうと、車の運転はできるが、目的地に連れて行ってあげることができない状況に陥ってしまいます。

知的財産の水先案内人としての役割を期待されているのに、目的地に連れて行ってあげることができないのであれば、そこには大きなギャップが生まれます。
ボタンを押す指示を企業に行わせ、指示されたボタンだけを押すという仕事の仕方では、事業活動のなかで知的財産を活きたツールとして活用していく循環を生み出すことは難しいでしょう。

弁理士の側でここがきちんとできなければ、知的財産の業界がうまく機能しないことは明らかです。
業界が機能不全になれば、勉強に4~5年も時間をかけてまでこの業界に飛び込もうと思う人が少なくなるのはある意味必然な流れなのかもしれません。

弁理士を育成するプログラムを強化すればいいというような簡単なことではないと思います。
ですが、私にもできることはあります。知的財産の水先案内人としての役割を果たし、時にはその知識や経験を後輩に伝えながら、知的財産の業界がきちんと機能するように業界の一員としての役割を全うすることです。

弁理士試験の受験者数は、知的財産の業界がきちんと機能しているかどうかを推し量る一つのバロメータですから、受験者数が増えるように日々頑張っていきたいと思います。

商標登録や特許など知的財産に関してお困り事やご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、こちらから。