特許出願・特許申請・国際特許・特許戦略・知財コンサルティング 神奈川県 鎌倉市の特許事務所

特許出願・特許申請・国際特許・特許戦略・知財コンサルティング
神奈川県 鎌倉市の特許事務所

人気記事

特許権を共有名義にした場合の「持分」の落とし穴

2015年09月16日 | 特許・実用新案

特許権を2社以上の共有名義にする場合、各共有者の持分を設定することができます。
例えば、A社とB社の共有名義の特許権について、A社が70、B社が30といったように設定します。

先日、このような事例がありました。

A社とB社の共有名義の特許権について、A社がC社にライセンスを設定しようとしたときに、B社から「それは困る」とストップがかかりました。
特許法では、A社は、B社の同意がなければ他社にライセンスを設定することができないので、B社からストップがかかればライセンスは設定できません。

これに対し、A社も、B社の主張はおかしいといいました。

理由は、こうです。
特許権の持分は、A社が51、B社が49に設定されているのだから、A社が主導権を握れるはずではないかというものです。

しかし、これは、大きな勘違いです。
聞けば、A社は、株式を51%保有していれば株主総会で普通決議事項などを単独で可決・否決できることと同じだと考えていたようです。

共有の持分は、株式の持分とはまったく関係ありません。

A社がC社にライセンスを設定する場合は、B社の同意が必要ですが、この場合に持分の多い少ないは関係ありません。
仮にB社の持分が1であろうが、C社へのライセンスに同意できない場合は、同意しないことができます。

では、共有の持分とはどういう意味があるのでしょうか。
それは、特許権の価値を金銭で計算する場合に、持分に応じた利益や負担を計算するときに用いられます。

例えば、共有名義の特許権を取得するのに手続に100万円要した場合、A社は100万円×51%=51万円を、B社は100万円×49%=49万円をそれぞれ負担することになります。

また、共有名義の特許権を5000万円で売却した場合、A社は5000万円×51%=2550万円を、B社は5000万円×49%=2450万円をそれぞれ得ることになります。

このように、共有の持分は、特許権の価値を金銭で計算する場合に用いられるものであり、特許権への支配力には何ら関係がないものなのです。

商標登録や特許など知的財産に関してお困り事やご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、こちらから。



著作権譲渡契約「著作者人格権不行使特約1」

2017年03月29日 | 著作権

本日は、先のブログ「著作権譲渡契約『未知の支分権』」の続きです。

著作者人格権は、著作者自身にのみ帰属するものであるため、契約によっても譲渡することができません。

著作者人格権も複数の権利が束になってでき上がっています。
著作者人格権には、(1)著作物を初めて発表できる「公表権」、(2)著作物に自分の名前を載せることができる「氏名表示権」、(3)著作物を改変されない「同一性保持権」という3つの権利が含まれています。

著作者人格権は、著作者の人格的利益の保護を目的とする権利なので、その行使を禁止する不行使特約を契約で定めても、それが有効なのかどうかが問題となります。

公表権、氏名表示権については、ほとんど問題となることはありません。

これに対し、同一性保持権については、一定の限界があります。
すなわち、著作者の人格を著しく害する程度まで改変を行った場合にまで不行使を認めることは、公序良俗に反し、契約が無効となる可能性があります。
したがって、改変の態様には注意が必要です。

なお、契約書において、「乙(受託者)は、第三者をして著作者人格権を行使させないことを保証する。」という規定を見かけることがありますが、この規定ぶりは適切でしょうか。
これは、第三者が行使することを阻止する義務があるという意味ではなく、第三者に行使させることをしないとも解釈できるので、疑義が生じ、争いの原因となります。

27、28条の権利を譲渡する場合は、同一性保持権の不行使特約がなくても改変することが前提となっているので、問題とはなりません。
しかし、この場合であっても、不行使特約を契約で明記することが無難でしょう。

次回は、「著作権譲渡契約『著作者人格権不行使特約2』」についてお話しします。

商標登録や特許など知的財産に関してお困り事やご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、こちらから。



事務所移転のお知らせ

2017年11月20日 | その他

いつも大変お世話になっております。

先日からお伝えしています将星国際特許事務所の移転について、正式な日程が決まりましたのでご案内させて頂きます。

新住所:神奈川県鎌倉市小町2-11-14山中MRビル3階

●移転&営業開始日:2017年12月1日(金)
●新事務所内覧会 :2017年12月4日(月)(予約不要)
●知財何でも相談会:2017年12月6日(水)(要予約、無料)

内装には「鎌倉らしさ」を取り入れ、他にはない特許事務所になる予定です。ぜひ遊びにいらしてください。
電話番号等は変更はありません。
12月1日は移転作業のために、一時通信が繋がりにくくなる場合があります。ご迷惑をおかけしますが、何卒ご了承の程、よろしくお願い致します。



平成28年弁理士試験統計発表に、思う

2016年05月23日 | その他

先週、平成28年弁理士試験の統計が発表されました。
今年も受験者数が一層減少したことに驚いています。

弁理士試験の受験者数は、10,494名だった平成20年をピークに毎年減少し続けています。
そして、今年はついに、記録が残っている平成10年以降では、最も少なかった平成10年が4,650名だったのに対し、今年は4,679名とほぼ同じ水準になっています。

受験者数の減少要因については、特許庁の弁理士制度小委員会で次のような指摘がされています。

1.特許出願件数が減っている一方で、弁理士数が増えているため、弁理士の志願者数が減るのは仕方がない。

2.かつての試験は、難しい試験だが一度資格を得れば十分な職が育まれるという意識があった。しかし競争原理を徹底した結果、必ずしもそうなっていない。

3.志願者数の大幅減は、日本弁理士会において、弁理士の魅力をアピールする努力が足りなかったことが一因である。

私は、新卒で知的財産の業界に飛び込んで20年以上経ちますが、知的財産を取り扱うのは、未だにとても難しいと感じています。
だから、他人(企業)の知的財産を取り扱うことを仕事にするには、高度な知識を身につけた人だけができるようにと、その登竜門として弁理士試験が設けられています。

弁理士試験を突破するには、合格者ですら4~5年かかるわけですから、合格だけを考えてひたすら勉強をし続けます。
そうした血のにじむ努力の上で試験を突破すると、いつの間にかあたかも合格が目的であったかのような思い込みに考えが支配されてしまいがちです。

しかし、その思いとは裏腹に、弁理士の資格はあくまで知的財産の仕事をしてもよいという免許にすぎません。
自動車で例えれば運転免許を手に入れたのと同じです。

知的財産を取り扱う仕事で重要なことは、特許などの手続ができることではなく、知的財産を保護、活用し事業の発展というゴールにクライアントを導くことだと考えます。
自動車で例えれば、運転できること自体が重要なのではなく、目的地まで連れて行くことが重要です。(もっといえば、専門家に依頼する以上、目的地に時間内に辿り着くこと、自社で行うよりは低コストで辿り着くことが求められます。)

知的財産を保護、活用する場合に、知的財産権をどのように手当てするかについては何通りもの選択肢があります。
どれを選べば正解なのかは、企業は容易には分かりません。
ましてやどのような方針で選択を行っていけば、事業の発展というゴールに辿り着くのかまで把握できている企業は、おそらく少数でしょう。

その大きな要因は2つあります。

1つは、知的財産が目に見えず、把握しにくいものであることです。

そしてもう一つは、知的財産を保護、活用した結果、自社や他社の事業にどのような影響が出るかが推測しにくいことです。
このボタンを押せばこのランプが光るというようにボタンとランプの関係がはっきりと把握できる場合は、光らせたいランプに対応するボタンだけを効率的に押していけばよいのです。
ところが、知的財産の場合は、保護や活用などの「施策」と、事業への影響という「効果」の対応関係がとても分かりにくいのです。

こうしたことを考えると、企業が弁理士に期待する役割の一つは、知的財産の水先案内人としての役割です。
つまり、「私は、このランプを光らせたいので、どのボタンを押せばいいか教えてほしい。」という質問に対し、「このボタンです。」と適確に答えられることです。
知的財産の知識がより少ない企業についていえば、「私は、事業の発展というゴールに辿り着くためにどのランプを光らせたらいいか分からないが、ゴールに辿り着きたいので、どのボタンを押せばいいか教えてほしい。」という質問に対し、「これとこれとこのボタンです。」と適確に答えられることです。

しかしこれに対し、合格を目的に位置づけてしまうと、車の運転はできるが、目的地に連れて行ってあげることができない状況に陥ってしまいます。

知的財産の水先案内人としての役割を期待されているのに、目的地に連れて行ってあげることができないのであれば、そこには大きなギャップが生まれます。
ボタンを押す指示を企業に行わせ、指示されたボタンだけを押すという仕事の仕方では、事業活動のなかで知的財産を活きたツールとして活用していく循環を生み出すことは難しいでしょう。

弁理士の側でここがきちんとできなければ、知的財産の業界がうまく機能しないことは明らかです。
業界が機能不全になれば、勉強に4~5年も時間をかけてまでこの業界に飛び込もうと思う人が少なくなるのはある意味必然な流れなのかもしれません。

弁理士を育成するプログラムを強化すればいいというような簡単なことではないと思います。
ですが、私にもできることはあります。知的財産の水先案内人としての役割を果たし、時にはその知識や経験を後輩に伝えながら、知的財産の業界がきちんと機能するように業界の一員としての役割を全うすることです。

弁理士試験の受験者数は、知的財産の業界がきちんと機能しているかどうかを推し量る一つのバロメータですから、受験者数が増えるように日々頑張っていきたいと思います。

商標登録や特許など知的財産に関してお困り事やご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、こちらから。



こんなところにもある身近な特許「モンカフェ」

2016年06月10日 | 特許・実用新案

私たちの身近な商品にも「特許」という表示をよく見かけます。
「特許」という字は、特別に許されたと書くので、青色発光ダイオードのような特別で優れた技術にしか与えられないイメージを抱いてしまいますが、私たちの身近な商品にも、特許となる技術があるのです。

皆さんよくお馴染みの「モンカフェ」にも「特許」があります。
本日は、「モンカフェ」の特許にまつわるお話を紹介します。

インスタントコーヒーの手軽さでレギュラーコーヒーの味わいを楽しむというコンセプトで作られた「モンカフェ」は、紅茶のティーバックにヒントを得ています。
レギュラーコーヒーの粉を袋に詰め、これにお湯を注ぐというものです。

おいしさを出す秘訣は、上からお湯を注ぐドリップ方式をコーヒーカップの上で再現したところにあります。
これを実現するため、フィルターやホルダーの構造をたくさん発明し、これについて特許を取得しています。

特許は一つ取得して終わりではなく、研究成果について特許になるものを見つけ出しては、一つ一つ特許を取得していきました。
その地道な活動が効果を奏し、発売以来、類似品が現れることなく市場で選ばれ続ける商品に成長しています。

引用:http://select-foods.com/category/14.html

商標登録や特許など知的財産に関してお困り事やご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、こちらから。



AI弁理士、誕生!?

2016年06月03日 | 知的財産

「将来、AI(人工知能)によってなくなる職業に弁理士が入っているぞ。」という話を聞いたので、該当の記事を読んでみると、「弁理士などは機械にとって代わられる可能性が高い」とひと言、理由の説明もなく冷たく列挙されていました。

「自分の職業がなくなるかも」という身につまされる話を聞いたので、まじめにAIの可能性について考えてみました。

知的財産の仕事には、単純な作業も一部にあります。
一定の様式に従って決まった事項を記載するような作業です。
こういった単純な作業は、タイプライターがワープロに置き換わったように、AIにどんどんとって変わられる作業ではないかと思います。

しかし、単純な作業が簡単になったからといって、弁理士の職業がなくなるという結論には遙かな距離を感じます。
タイプライターがワープロに置き換わっても、ライターの仕事がなくならなかったのと同じだからです。

知的財産の仕事のなかで難しく時間や労力がかかるのが「判断」のところです。
例えば、商標登録の話でいえば、この商標が単なる品質表示にあたるのか、この商標が他社の登録商標と似ているのか、この商標が広く知られているのか、他社の商品と混同するかどうか、他社の商標権を侵害しているかどうかなどです。

弁理士の職業がなくなるというのは、この「判断」までもAIにとって変わられることを意味しているのでしょうか?
事業活動のなかには知的財産の創造・保護・活用のシーンがありますが、これらのシーンにおいて「判断」が不要になるのであれば、なくなるのは、弁理士どころの話ではありません。

特許庁も当然不要です。
例えば、特許庁の前にポストを置いておいて、そこに商標を書いた紙を入れると、AIが分析し、最適な商標について自動的に商標登録を付与してくれるようになります。
商標登録できない商標であれば、商標登録できる商標に変更し、それを商標登録してくれるわけです。(商標登録できる商標をAIが提案するシステムだと、それを採用するかどうかの「判断」が必要となるので、究極は勝手に変更するということに行き着くでしょう。)

知的財産の裁判所も不要になります。
同様に、裁判所の前にポストをおいておいて、そこに自分の登録商標と相手方の商標を書いた紙を入れると、AIが分析し、商標権の侵害かどうかをジャッジしてくれるようになるからです。

本当にそこまで現実的な将来として想定されているのだろうか?と疑問に思いました。

上記記事を見渡すと、「弁護士などは代替リスクが低い」とされており、その明確な理由は示されていませんが、弁護士は、ある行為や事実が法律の規定に該当するかどうかを判断することに高度な専門性を有する職業ですから、その根幹部分がAIにとって変わられにくいと判断されている、と考えられます。

商標登録を受けられるかどうかの判断や商標権を侵害するかどうかの判断は、同じような判断を必要とするものですから、弁護士の判断をAIに置き換えるのが難しいのだとすれば、同様に弁理士の判断も容易でないと考えることができます。

AIは万能ではありません。
計算が正確であり、大量のデータを処理できる点で優れているツールではありますが、人間と同じように、AIにできることもあればできないこともあります。

AIにできる部分はAIに置き換わるでしょう。
しかし、人はうまい生き物で、AIと戦うことを選択するのではなく、そこはAIに任せ、人にしかできない作業に特化して進化していく、環境適応能力に長けた生き物だと思います。
この点も、創造性と社会的知性と並んでAIとは異なる人の優れた能力であるということがいえます。

それを考えると、現在行っている弁理士の仕事の多くがAIに置き換わるかもしれませんが、弁理士も、そうしたAIのインフラの上に、人にしかできない知的財産の仕事を行っていくように業態が移り変わっていくでしょう。
AIによって弁理士の業態が変わることはあっても、弁理士がAIに置き換わるというほど神格化される技術ではないと考えます。もちろん、他の多くの職業についても同様です。

商標登録や特許など知的財産に関してお困り事やご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、こちらから。



著作物を改変できるかどうかについての権利

2015年10月08日 | 著作権

著作権法では、著作物を改変できるかどうかについての権利が定められています。

著作物を改変されない権利として、「同一性保持権」があります。

これに対し、著作物を改変できる権利として、「翻案権」があります。

これらの権利を同じ人が持っている場合は、特に問題はないのですが、著作物を改変されない権利である「同一性保持権」と、著作物を改変できる権利である「翻案権」を別々の人が持つことになると、問題が生じます。

どういった問題かというと、著作者であるAさんから「翻案権」を譲ってもらったBさんは、著作物を改変して使いたいと考えているところ、「同一性保持権」を持っているAさんは、その著作物を改変せずそのまま使ってほしいと考えている場合、どういった場合に改変ができて、どういった場合に改変ができないのかといった問題です。
これをきちんと線引きしないとトラブルの原因になってしまいます。

考え方としては、3つあります。

1つ目は、翻案権を持っていたとしても、翻案権の範囲で著作物を改変することは著作物の同一性を損なうことになるので、同一性保持権の侵害となるという考えです。
したがって、Bさんが翻案権を持っていても、翻案権の範囲で著作物を改変するには、Aさんの承諾が必要になり、Aさんの意に反してまで改変することはできないということになります。

2つ目は、翻案権を譲渡したのだから、同一性保持権はある程度制約を受けるという考えです。
すなわち、翻案権の範囲で行える改変のうち、著作者の人格的利益を害しないような改変であれば、同一性保持権を持っている人の承諾なしにできるというものです。

3つ目は、同一性保持権は当然に制約を受けるという考えです。
すなわち、翻案権を譲渡した以上、翻案権の範囲で著作物を改変することは、同一性保持権が制限される「やむを得ないと認められる改変」(著作権法20条2項4号)として認められるというものです。

商標登録や特許など知的財産に関してお困り事やご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、こちらから。



意外!?”箱根駅伝”という言葉も商標登録

2015年07月28日 | 商標

商標登録とは、企業等が自社の製品を他社に真似されないよう登録して保護するためのものというイメージがあります。
ですが、意外な商標が商標登録されていることもあります。

「箱根駅伝」は毎年1月に行われる非常に有名な大学駅伝の競技会ですが、「箱根駅伝」が読売新聞東京本社に商標登録されていることはご存じでしょうか。
サービスのように形のないものに対して商標登録できるということも意外ですが、それにより様々な制約が発生するので、知っておかなければ予期せぬトラブルに巻き込まれる原因にもなります。

「箱根駅伝」についてはその名称の利用方法が「大学の施設内での出場あるいは成績発表」「大学の刊行物による出場あるいは成績発表」・・等と明確に定められています。
そうはいってもシーズンになればテレビやラジオ等で普通に放送されているし、利用制限なんてあるの?と感じるかもしれませんが、各種メディアは関東学生陸上競技連盟とスポンサー契約を結んでいます。

このように、私たちの身近なところに商標は溢れていて、時に目に見えない形で影響力を発揮しているのですね。


引用:http://www.hakone-ekiden.jp/



他人の商標の引用

2012年06月03日 | 商標

よく、「※iPhone、iPad、及びAppleロゴは、米国Apple Inc.の米国及びその他の国における登録商標又は商標です。」という表記を見かけませんか。
この表記は、記事やカタログ等で他人の商標が引用されている場面において見かけることがあります。

この表記の位置づけはどういうことなのでしょうか。
この表記を付しておけば、他人の商標を「使用」することが認められるのでしょうか。
この点は、著作権法上の引用と誤解がある点です。

他人の登録商標は、権利者から許諾を得ない限り、識別標識として機能するような使い方は認められません。
例えば、アサヒグループホールディングス株式会社の許諾なく、自社の缶ビールに「スーパードライ」と大きく表示し、裏面に、「※スーパードライはアサヒグループホールディングス株式会社の登録商標です。」と表記しても、認められません。

では、上記のような表記は、どういう場面で使われているのかといいますと、記事やカタログの文中で他人の商標を引用して特定業者の商品を指し示す場合です。
例えば、「アサヒビール株式会社が製造・販売する辛口ビール」と表記するよりも「スーパードライ」と表記した方が、商品の内容を端的に伝えることができます。

このような場合は、商品やサービスとの関連性がないかたちで他人の商標を引用することになりますので、商標法上、他人の商標の「使用」ということにはならないのです。

ただし、消費者が、文中の商標を見て、特定業者の商品を指し示しているのか、そうではなく商品の普通名称を指しているのかを区別できるかどうかは重要な問題です。
登録商標があたかも商品の普通名称であるかのような使い方をされると、商標としての機能が失われてしまいますので、他人の商標を文中で引用するときは、その権利者に配慮して「普通名称ではありません。」という断り書きを入れるのがマナーとなっています。
それが冒頭の表記ということになります。

※商標法上の「使用」と混同することを避けるため、本記事中では、そうでない使い方を「引用」と表記しています。



おいしいシウマイ、崎陽軒

2012年03月31日 | 商標

「シウマイ」は崎陽軒の商標です。
焼売は、片仮名では通常「シューマイ」と表記し、こちらが普通名称です。
これに対し、崎陽軒の商標は、「シウマイ」と表記します。

「シューマイ」とは違うのです。
もちろん決して誤記ではありません。
「シウマイ」という商標には、同社のこだわりがあるのです。

名前の由来はいろいろとあるのですが、その一つとして、商標の中に「うまい」という文字が入っており、「崎陽軒の焼売はうまい」という意味を込めたというお話です。
焼売なだけに、実に妙味です。

さて、ここで商標登録のお話。
商品の普通名称は、原則として商標登録を受けられません。

では、「シウマイ」のように、普通名称ではないが普通名称に似ている商標は、どう取り扱われるのでしょうか。

普通名称が商標登録を受けられないのは、商標として機能しないという理由ですが、普通名称がそうだからといって、普通名称に似ている商標も、直ちにそうかというと必ずしもそうではありません。
普通名称に似ている商標でも、商標として機能する場合もあり、そのような場合は商標登録を受けられる余地があります。

ところで、商標登録を受けると、登録商標と似ている商標にも、商標権の効力が及び、第三者は使用することができないのが原則です。

では、「シウマイ」が商標登録を受けた場合、第三者は、焼売を販売するときに「シューマイ」を使用することができないのか?という疑問が出ます。

大丈夫です。
商標法には例外規定があり、登録商標と似ている商標であっても、それが普通名称である場合は、商標権の効力が及ばないとされています。