特許出願・特許申請・国際特許・特許戦略・知財コンサルティング 神奈川県 鎌倉市の特許事務所

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お客様インタビュー

将星国際特許事務所:お客様インタビュー 株式会社サイクルロッカー様と

― 株式会社サイクルロッカー 代表取締役 大久保紀明様 ―

室内用自転車スタンド「クランクストッパースタンド」で特許を取得された
サイクルロッカー 大久保紀明社長にお話を伺いました。

INDEX
  • サイクルロッカーについて教えてください
  • 最初から「クランクストッパースタンド」の企画開発を行ったのですか
  • 発明当初から、特許取得は意識されたのですか
  • 展示会で公知の事実となれば、特許取得ができなくなりますね
  • 審査官に実物を見ていただくことが可能なのですか
  • 特許出願を考えている方にアドバイスをお願いします

サイクルロッカーについて教えてください

貴社の事業内容について教えてください。
サイクルロッカー
駐輪装置「サイクルロッカー」
大久保社長

サイクルロッカーは、2010年5月に私が設立した、
駐輪装置の企画開発・製造・販売をメインに行う会社です。

駐輪装置は「サイクルロッカー」のブランド名で販売しており、今回、特許を取得したのは「クランクストッパースタンド」という商品です。

大久保社長は一級建築士とお聞きしていますが。
どんなきっかけで駐輪装置の企画開発に取り組まれたのですか
大久保社長

大学卒業後、都市計画を行う会社に就職し、都市計画や街作りのコンサルティング、プランニングを担当しました。その中で、公共交通をどの様にしていくかを企画・検討をしたことがあります。私は趣味で自転車(ロードレーサー)に乗っており、公共交通には自転車のインフラ整備が不可欠と考え、様々な提案を行ってきました。

その後、リーマンショックの影響もあり、勤務先企業の事業縮小に伴い独立し、自転車のインフラ整備に関する事業に取り組もうと考えたのがきっかけですね。

最初から「クランクストッパースタンド」の企画開発を行ったのですか

最初から「クランクストッパースタンド」の企画開発を行ったのですか。
大久保社長
自転車好きだったことが、
発明のひとつのきっかけと大久保社長
大久保社長

いえ、最初は「サイクルロッカー」の名前が表すように、ロッカーの中に吊り下げ型の駐輪装置がついた商品の企画開発・製造・販売を始めました。
自転車ブームでもあり、自分の自転車で通勤したい方が大勢いる一方で、セキュリティが伴った駐輪場は、ほとんどありません。ロードレーサーのホイルなど装備は簡単に取り外せます。すると、セキュリティが伴わない駐輪場には、盗難の危険から駐輪することができません。その解決策としての提案でした。

そんなあるときに閃いたのが「クランクストッパースタンド」なんです。2010年の初夏でしたね。

どんなきっかけで閃いたのですか。
大久保社長

ヨーロッパには、フックに前輪を掛ける吊り下げ型の駐輪装置がたくさんあります。しかし、吊り下げ型だと、カーボン製のホイルがキズつく恐れがあり、サイズ的に吊り下げられないものもあります。

それでも自転車を縦置きすることを考えていたとき、クランクで止めたらどうかと閃いたんです。ペダルは逆方向にはフリーに回転しますから、自転車を止めるときはペダルを逆回転させて固定する。これなら、自転車に不要な負荷を与えることなく、縦置きが可能になります。

発明当初から、特許取得は意識されたのですか

発明当初から、特許取得は意識されたのですか。
一本の棒
「一本の棒」が特許の構成要件
(特許明細書では自転車固定手段と表現)
大久保社長

私が見てきた国内外の駐輪装置に同様のものはありません。 自分で特許電子図書館で調べたところ、似たものもありませんでした。 特許が取得されていないのは、誰も気づいていないのか、それとも特許にならないのかは、わかりませんでしたね。

最初は自分で特許出願にトライしようと考え、特許明細書の書き方などを独学で勉強しました。また、行政の無料相談にも行って、弁理士の方に相談もしました。その段階で、素人にできるものではないことがわかりました。

一方で、その年(2010年)11月に幕張メッセで開催される展示会への出展を決めていました。気がつけばもう8月。時間がありません。無料相談の弁理士の方は「クランクストッパースタンド」への理解が足りないと感じていましたので、きちんと理解してくれる弁理士の方を探そうと、私はインターネットで検索を始めました。

ネット検索で渡部先生を見つけたのですか。
大久保社長

何か相談したいときにパッと自分が自転車で行ける距離に事務所を構えていて、地元に密着して活動している弁理士の方に依頼したいと考えました。逗子・葉山・鎌倉メインでやっている弁理士の方を何人かリストアップして、その中から渡部先生に連絡を取りました。

連絡したら、「すぐに打ち合せしましょう、見に行きます」といってくれたんです。

渡部

大久保社長から、「図面を見るよりも、実物を見てもらったら一発でわかる」といわれて、「わかりました」と駆けつけました。拝見して、確かに図面を見て細部がどう、というものではなかったですね。構造はシンプルそのものですから。

渡部先生への依頼はすぐに決められたのですか。
大久保社長

無料相談でお会いした弁理士の方は、手続の専門家という印象でした。ところが、渡部先生とはお会いして「クランクストッパースタンド」を見ていただいた瞬間に本質的な部分を共有することができましたので、依頼することに決めました。

渡部

実際に構造はシンプルです。パッと見るとどこが従来技術で、どこが新しいのかは見えてきます。スタンドは従来からある、新しいのはストッパーの棒です。つまり、構成要件は棒だけ。難しいミッションだと思いました。一方でこういう製品がないことは事実ですから、審査官に製品のユニークさと情熱をいかに伝えるかが大切だと思いました。正直、楽ではない、厳しい案件だと思いました。

展示会で公知の事実となれば、特許取得ができなくなりますね

実際に特許出願をされたのは2010年11月の展示会数日前でしたね。
大久保社長

そこからが大変でした。展示会前日、試作品が会場に運びこまれたところ、不具合が見つかりました。ストッパーが動かない。この段階では、ストッパーを持ち上げて、自転車を出す構造でした。それが動かない、つまり取り出せない。このままじゃどうしようもない……そんなとき、ふっと止めてある自転車を軽く持ち上げてみたら、取り出せたんです。
最初は気づかなかったんですが、自転車を持ち上げると取り出せる。タイヤが回れば、ペダルも回って取り出せる。ストッパーを動かさないということは、もっとシンプルな特許になるんです。

展示会が開催されると公知の事実、特許取得ができなくなりますね。
特許証を持つ大久保社長
特許証を持つ大久保社長
大久保社長

そうなんです。明日の展示会がオープンすれば、公知の事実となってしまい、特許にはならないのです。

渡部

かなりあわてた電話でした。「メーカーのミスがきっかけで、ストッパーを動かさなくとも、自転車は取り出せるということがわかりました」と。実は、出願の際、「固定はありですか」と確認したら、「取り出せないからなしです」と返事をもらっていました。つまり、特許明細書には書いてありませんので、特許としてカバーされないんです。

「どうしますか」とお聞きしたら、「やります、出願してください」との返事でした。

大久保社長

リミットは明日の展示会オープン前。夜通しの作業で、夜中の1時、2時に電話で打ち合せをして、朝、最終的に書類をチェックし、8時に出願してもらいました。
しびれましたね~。

審査官に実物を見ていただくことが可能なのですか

大変な思いをしての出願でしたが、早期審査にかけたところ、届いた返事は拒絶理由通知でした。
大久保社長

そう簡単ではないだろうと思っていましたので、覚悟はしていました。でも、出てきた拒絶理由を見て、これなら勝てる、と思ったんです。拒絶理由として示されていたのは、バンドでペダルを固定する特許。審査官に正しく理解してもらえていないと感じました。

渡部

そのとき、最初の出会いで大久保社長が「図面よりも、実物を見て欲しい」とおっしゃっていたことを思い出し、これはきっと審査官も同じだと思い、「審査官にも見てもらいましょう」と提案をしました。

審査官に実物を見ていただくことが可能なのですか。
渡部

可能です。お願いすれば見てもらうことができます。ただ、いろいろと大変ですので、提案する弁理士は少ないかもしれませんね。

本件のように言葉での差別化が難しい案件においては、審査官がどのように考えているのかをきちんと理解しなければ、審査官に適切な提案をすることが難しいです。
まず審査官に実物を見ていただき、出願人と審査官の認識を一致させた上で、審査官の考えを理解するというプロセスを踏むことが本件にとって必要であり、その点で、面接は絶好のアプローチであると考えました。

大久保社長

特許庁の地下駐車場で審査官に見ていただき、実際に自転車を止めてもらいました。いろいろと説明しようと思っていたんですが、その必要もなく、審査官はすぐに「わかりました」といってくださいました。

渡部

駐車場から面接室に移り、「こういう補正をして提出しようと思います」とお話すると、審査官から「これで出してください」との返事をいただけ、特許取得のメドがついた、と思いました。

無事、特許を取得された感想をお聞かせください。
大久保社長

他にはないと思っていましたが、実際に特許となったことで一安心です。
自転車業界では、駐輪装置はいろいろ出てきています。まだ、類似した商品は出ていませんが、仮に出てきたとしてもきちんと対応が取れますね。

現在、国内だけでなく、アメリカやイギリスなどでの展開を模索しています。こうした面でも渡部先生の提案に助けられていると感じています。

渡部

国内での出願と併せて国際出願をご提案しました。大久保社長からはその時点では「まだ未定」といわれましたが、将来性を考えると国際出願は外せません。国内で出願して1年以内という出願の期限がありますので、通常3年かかる特許審査を早期審査にしてもらい、必要なアドバイスと手だてを打ってきました。
国際出願は、現在、どの国に出願するかを判断すれば、手続がすぐに行える状況になっています。

特許出願を考えている方にアドバイスをお願いします

今後、特許出願を考えている方にアドバイスをお願いします。
大久保社長

友人たちに聞くと、特許出願でうまくいっていないケースもあるようです。拒絶された場合、その理由をもとに他の角度から出す。そしてまた拒絶……となるときりがありません。コストもその分かさんできます。素人には、特許出願がどれだけのスケールの仕事になるかわかりにくい面がありますので、その点をきちんと説明してもらえる弁理士の方が良いと思います。

そして相性もあると思います。噛み合わないな、と思ったなら変えるという決断も時には重要ではないでしょうか。

将星国際特許事務所のお薦めポイントがあれば教えてください。
大久保社長

渡部先生とすぐに理解し合えて、意思疎通がスムーズにできたことが、私の特許取得の要件だったと思います。細かなやり取りもピッタリと息があっていました。
発明の内容はもちろん、発明者の気持ち、思い入れをきちんと理解しよう、共有しようという姿勢で相対してくれますから、ずいぶんと勇気づけられました。

そして、忘れてはならないのは、諦めないこと、とことんやり抜く姿勢です。私は、展示会前日に新たな発見をして、1回目の出願をベースにした2回目の出願を行いました。それも1日ないスケジュールで対応してくださった。この出願がなければ、公知の事実となって、特許取得できませんでした。

また、戦略も不十分な私に、国際出願の仕組みやメリット・デメリットなどをきちんとアドバイスしてくださり、今は未確定でも将来を考えて出願した方がいいと強く背中を後押ししてくれたことも感謝しています。

お付き合いしていく中でわかったことですが、渡部先生は地元のために、地域のことを考えて活動されているかなり珍しい弁理士なんですね。地域のブランドを守っていこうという心意気に共感します。

将星国際特許事務所への今後の期待がありましたらお聞かせください。
大久保社長

地域のブランド、地元のインフラとしての知財戦略という観点で仕事をされている姿勢は、私たち地元に根ざして事業を行っている会社にとって、とても大きなバックアップになると思います。

私も「クランクストッパースタンド」程の発明はできないかもしれませんが、新たな種を見つけたときにはご相談したいと思いますので今後とも宜しくお願いします。

大久保紀明社長(左)と渡部(右)
大久保紀明社長(左)と渡部(右)

本日はお忙しい中、
貴重なお話をありがとうございました。


クランクストッパースタンドは、こちらの動画で詳しくご覧になれます。ストッパー1本で自転車を駐輪するという発想は、まさに「コロンブスの卵」。なぜ自転車が固定されるのか、まるで魔法にかけられたようです。


※ 株式会社サイクルロッカー 代表取締役 大久保紀明様
※ ホームページ:http://cyclelocker.net/
※ 取材日時:2012年9月14日
※ 取材制作:カスタマワイズ
※ 本文中の情報はいずれも取材時のものです。